ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)

第百四十三話:「復活祭・異教徒のイベントが季語に」

2023/04/01
最終更新:2026-07-29
キリスト教由来のイベントが、カタカナ語も含めて、俳句の季語に色々取り上げられておりますが、
「復活祭・イースター」もその一つで、イースターケーキや彩色卵で
春の新たな息吹を喜び祝う行事となっております。
イエスキリストが死んでから三日目に復活したことを祈念する日で、
春分後の最初の満月の次の日曜日に行う祭事ですので、毎年日替わりしますが、
今年は4月9日となります。
我が国での初出は16世紀中葉、長崎平戸の高山右近らキリシタンによる祭事が記録されていますが、
異教徒の日本人に広まったのは、戦後50年代以降のデパートや洋菓子店の商業キャンペーンに
よるものと思われます。

若き心にともされし灯や復活祭     原月舟
復活祭手摺れ聖書に夫の文字      及川貞
女人等を見捨てし一童復活祭      中村草田男
うつむきて影が髪梳く復活祭      寺山修司
 
元々は、旧教時代ユダヤ教徒が無事にエジプトから脱出を遂げ開放感を神ヤハベに
感謝する行事が原型だとされ、復活祭(旧教の過越祭)前日までの準備期間を
「受難週・聖週間」と言い、ヘブライ語で「ペサハ」ラテン語圏で「パスカ」ゲルマン語圏で
「オースタン」そして英語圏で「イースター」と呼ばれるようになりました。

湖べりにさくらつらなり受難週     森澄雄
棘をもつ草のやさしく聖週間      鷹羽狩行
聖週や月星漏るる遠山脈        山本よ志朗
千年の大扉をはなちイースター     内田美智子
草木の光どよもすイースター      水田むつみ
 
出エジプト記によるユダヤ人がヤハベの神に捧げた子羊の血塗りに由来して、
復活祭前夜からは、羊の焼き肉と卵など動物絡みのミルクやケーキ等を頂くことが許容され、
特に卵には、見た目に動かないものから、新しい生命が生まれるとして、死からの復活を象徴すると共に、
ゆで卵に食紅で着色したイースターエッグ(染卵)には、赤が血と生命や太陽、青が死と
天界や海を意味すると言われ、他にも多色彩絵もあり、夢や希望と子孫繁栄、健康長寿を祈念するようです。

天窓に夕日差し来る染卵        井上弘美
赤い鳥青い鳥描き染卵         大橋麻沙子
カステラに沈むナイフや復活祭     片山由美子
ミルクこぼれ一面復活祭の夜      有馬朗人
復活祭山脈赤く海青し         大野林火
天空を行く汽車描かれ染卵       村田白峯