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レスベのスチルべノイドが防御する微生物感染症:
スチルべノイドが免疫細胞強化ペプチドのカテリシジンを活性化

2025/08/23
最終更新:2026-07-29



1.微生物感染症予防の鍵は抗微生物ペプチドのカテリシジン
2.カテリシジンを活性化するスチルべノイドとは
3.スチルべノイド化合物を含有する赤ブドウ・レスベラトロール
4.   ライナス・ポーリング博士(Linus Carl Pauling:1901年~1994年)

5.   ライナス・ポーリング研究所(Linus Pauling Institute)


1.微生物感染症予防の鍵は抗微生物ペプチドのカテリシジン
微生物感染症研究者らのターゲットは白血球などの免疫細胞内に存在する
抗微生物ペプチド(antimicrobial peptides)
バクテリア感染に対して鍵となる役割を果たし、最前線で侵入を防御する能力を持ちます。
当初は白血球の好中球(neutrophils)より分離され、1995年にカテリシジン(Cathelicidin;CAMP)と
命名されましたが、以後多数の細胞より発見されています。

カテリシジンファミリーのメンバーは約30種類が知られていますが、
ヒトにみられる唯一の活性型をカテリシジン(Cathelicidin)と呼んでいます。


CAMP(カテリシジン) にはすでに数多くの研究が報告されており、
バクテリア感染に対して鍵となる役割を果たすことに異論はありません。
米誌「栄養と食の分子探求:Molecular Nutrition and Food Research」に掲載された
「免疫力を強化するスチルべノイド(Stilbenoids)の効用」が大きく再評価されたのは
約10年前。
栄養学研究で世界をリードするオレゴン州立大学のライナス・ポーリング研究所
(Oregon State University Linus Pauling Institute)の研究者らによる免疫力強化物質の
探求報告が続き、課題は抗微生物蛋白質カテリシジンを活性化させる
天然のスチルべノイド(ポリフェノールの親戚)を含有する物質探しでした。。
研究をリードしたのはオレゴン州立大学生物化学、生物物理学部の
アドリアン・ガンバート(Adrian F. Gombart Ph.D)博士ら.

2.カテリシジンを活性化するスチルべノイド(Stilbenoids)とは
天然のスチルべノイド(Stilbenoids)はスチルベン(stilben)の水酸化二次派生物質。
レスベのほかに木材の心材などに含有します。
植物がアミノ酸のフェニールアラニン(phenylalanine)から合成するフェニールプロパノイド(Phenylpropanoid)の派生物質であり、植物を外敵から護るファイトアレキシン(phytoalexin)と
呼ばれる化合物の一つです。
赤ブドウ・レスベラトロールはこのファイトアレキシン(フィトアレキシン)でもあります。

これまでスチルベン・グループの細胞内における生理活性は未明でしたが、傷や微生物感染の防御効能は
疫学的に知られていました。
カテリシジンは哺乳類への侵入バクテリア防御に対する先天的免疫において活性化の
働きをすることが、すでに解明されています
が、スチルベン・グループの働きとは
結びついていませんでした。
 
3.スチルべノイド(Stilbenoids)化合物を含有する赤ブドウ・レスベラトロール
博士らはカテリシジンが、魚類の肝臓や魚肉、卵黄由来の天然のビタミンD³(cholecalciferol)との
相乗効果で活性を増すことをすでに見出していましたが、そのほかに効果がある物質を
探求するために有望な化合物446種類を調査。
結果的に効果があったのはスチルべノイド(Stilbenoids)化合物を含有する
赤ブドウ・レスベラトロールと、その派生物質プテロスチルベン(pterostilbene)でした。
このスチルベノイド・グループがユニークな生理的経路により免疫機能を
発揮するのはヒトと霊長類のみだったのも新たな発見。

食材や日光浴で体内吸収されたビタミンD³は肝臓と腎臓で活性型ビタミンDとなり、
体内のカルシウム代謝や免疫システムへのプラス関与物質になります。
*キノコなど植物由来はビタミンD²(エルゴカルシフェロール:Ergocalciferol )

4.ライナス・ポーリング博士(Linus Carl Pauling:1901年~1994年)
ライナス・ポーリング研究所のライナス・ポーリング博士は日本流にいえば明治生まれ。
分子生物学関連ばかりでなく医学、量子力学、有機無機の化学など幅広い分野の
研究で著名な学者。
20世紀における最も重要な化学者の一人として認められる数少ないノーベル賞複数受賞者です。
思想家としても知られ、核兵器使用反対運動がノーベル平和賞につながりました。
天然の食品化合物を医療に使用することに関してポーリングは先駆者。
ビタミンなど栄養学の研究も数多く、サプリメントの父ともいえる学者です。
博士のこだわりは天然の産物に限ること。
化学合成されたサプリメント素材の効能が、天然とは大きく異なることを見抜いていました。
栄養学に詳しく*天然のビタミンD、Cを食品からとりだし、自身でも保健に愛用。
今回の研究主任アドリアン・ガンバート博士はこの伝統を受け継ぎ、天然食品素材より
ターゲットを探求しました。
 
5.ライナス・ポーリング研究所(Linus Pauling Institute)
1973年にライナス・ポーリング博士らによりカリフォルニアのパロアルト(Palo Alto)に設立。
パロアルトはシリコーン・バレーの中心地。
インテル、フェアーチャイルドなどマイクロエレクトロニクス分野の若い科学者たちが夢を追い続けて
多大な成果を上げました。
ポーリング研究所は博士の死後、1996年に母校のオレゴン州立大学内(Oregon State University)
に移転されました。
微量栄養素(micronutrients)、植物由来の化合物(phytochemicals)などを駆使して慢性疾患の治療、
予防と健康増進をはかる専門機関として世界をリードしています。
得意分野はガン、老化、神経変性など。
博士の意志は今も受け継がれこれまで疫学的に証明されてきた食品群の効能を分子レベルで
立証する研究が進んでいます。

初版:2013/10/18
改訂版:2018/10/10
改訂版:2025/08/23